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生れ出づる悩み [日記]

 みなさん、『母の日』はいかがお過ごしされましたか?

わが家では、ウルトラマンがやってきました。



ウルトラマン?1
「お、ウルトラマン参上!だな」
「おじいちゃん、ちがうよ。アイアンマンだよ」
「あ、そうか。てっきりウルトラマンと思ったよ...」
「ウルトラマンってだ~あれ
「正義の味方だよ」
「そんなヒーロー、知らない」



ウルトラマン、いや、アイアンマンの招待はユウちゃんでした
ウルトラマン?2

ウルトラマンといっしょに子どもたちが来てくれ、昼食をして祝いました。

ウルトラマン?3


ウルトラマン?4


さて、話変わって、前回、ここに書いた”日本文学のポルトガル語翻訳”の話。
今まで、学校のサイトには日本語に訳したブラジル文学、ポルトガル語に訳した日本文学などを紹介してきました。



          学校のサイトの『翻訳作品のページ』には、これまで訳した作品のリストが
翻訳作品本棚

一つ選んでマウスを乗せる(オンマウス)と、作品の冒頭の部分が見れるようにしています。
(これは宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』のポ語訳です)


翻訳作品本棚1




さらにクリックすると、作品のページが見れるようになっています。
翻訳作品本棚2
(サイト作ったのもLobyですが、手の込んだサイトを作ったものです...)




今回、Lobyが一人で翻訳する日本文学、いろいろと調べた結果、『生れ出づる悩み』有島武郎 著を選びました。

生れ出づる悩み

この作家のことも、作品のこともまったく知らなかったのですが、
日本文学50選というサイトに
”逆境にも挫けず、傑作を生み出した青年画家の芸術家としての精神の成長を描いた短編” とあった紹介文に惹かれて訳すことにしました。

有島 武郎 (Wikipediaより)
Arishima_Takeo.jpg



青空文庫のファイルをお借りすることにしましたが、底本は「小さき者へ・生まれいずる悩み」岩波文庫、岩波書店版で、20世紀後半人であるLobyにも読みやすい文体となっています。(青空文庫さん、ありがとうございます。)
それにしても、青空文庫って本当にいいですね。
昔の作品をパソコンなどで無料で読むことができるって本当にステキです。
(これまで翻訳した日本文学も、すべて青空文庫さんのファイルを利用させていただいています)


札幌在住時代の有島が住んでいた家 (Wikipediaより)
640px-Takeo_Arishimas_House.jpg


さて、この有島武郎なる人物、かなり波乱万丈の人生を送っています。
まあ、小説家ってロマンチストが多いから、恋愛とか浮気とかってしまくっているんでしょうけど、 (作家じゃなくても、男は種族保存本能からか、恋愛&浮気に励むようですが…

太宰治なんかも、愛人と入水自殺していますし…
まあ、作家(も男も)みんながみんな種族保存本能のかたまりではないわけで、
真面目な作家(も男)もいるし、清廉潔白な作家(も男)も当然います。
宮沢賢治なんて、まるでピューリタンみたいな人生を送っているようですし。

今回、取り上げた有島武郎は、エリート階級の出で、学習院中等学校(今の高校?)卒業後にハーバード大学で学び(ついでに社会主義を学び)、帰国後作家活動に入ったわけですが、早くに妻・安子(肺結核により27歳で没)を亡くした有島は独身を通していたものの、1923年に『婦人公論』記者で人妻であった波多野秋子と恋仲(浮気です)となったが、秋子の夫に知られ、脅迫を受けて苦しんだ結果、2人は軽井沢の別荘で縊死を遂げています。

彼が残した遺書には、
「愛の前に死がかくまで無力なものだとは此瞬間まで思はなかつた」
と残されており、辞世の歌は



   幾年の命を人は遂げんとや思い入りたる喜びも見で
   修禅する人のごとくに世にそむき静かに恋の門にのぞまん
   蝉ひとつ樹をば離れて地に落ちぬ風なき秋の静かなるかな



となっており、まあるで仏教の諸行無常是生滅法の文のようです。
(当時の作家はこの辞世の歌を酷評しているし、師であった内村鑑三などは「この度の有島氏の行為を称えるものが余の知人に居るならば、その者との交流を絶つ」(大意)、と批判したそうですが…)

まあ、人間、盲目の恋に陥ったら何も見えなくなり、人生も真っ暗(地獄へ直行)になりかねませんからね。

ちなみに、有島武郎の作品は、魯迅が紹介したことから中国での知名度が高く、教科書にも掲載され広く読まれている、そうですから、ちょっとオドロキです。

早速、『生れ出づる悩み』の第一章を訳してみました。
原文と比較できる形で対訳しています。



umareizurunayami.jpg


第一章にある、有島武郎氏の書斎の窓からの描写の翻訳にちょっと手こずりましたね。 この部分です。
”寒い。原稿紙の手ざわりは氷のようだった。
 陽ひはずんずん暮れて行くのだった。灰色からねずみ色に、ねずみ色から墨色にぼかされた大きな紙を目の前にかけて、上から下へと一気に視線を落として行く時に感ずるような速さで、昼の光は夜の闇やみに変わって行こうとしていた。

午後になったと思うまもなく、どんどん暮れかかる北海道の冬を知らないものには、日がいち早く蝕むしばまれるこの気味悪いさびしさは想像がつくまい。

ニセコアンの丘陵の裂け目からまっしぐらにこの高原の畑地を目がけて吹きおろして来る風は、割合に粒の大きい軽かろやかな初冬の雪片をあおり立てあおり立て横ざまに舞い飛ばした。

雪片は暮れ残った光の迷子まいごのように、ちかちかした印象を見る人の目に与えながら、いたずら者らしくさんざん飛び回った元気にも似ず、降りたまった積雪の上に落ちるや否や、寒い薄紫の死を死んでしまう。

ただ窓に来てあたる雪片だけがさらさらさらさらとささやかに音を立てるばかりで、他のすべてのやつらは残らず唖おしだ。快活らしい白い唖の群れの舞踏――それは見る人を涙ぐませる。  私はさびしさのあまり筆をとめて窓の外をながめてみた。そして君の事を思った。 ...” (青空文庫のファイルから引用)



こういう文は、ポ語でも英語でも何語でも約するのは難しいと思います。
ネイティブ(現地の人)が読んで、意味が分かる言葉で、それも原文の意味を損なわずに訳すって 並大抵ではないです。

直訳で構わない言葉
意訳をしなければならない言葉
どこでそれを使い分けるか...
翻訳者の悩みですよね

意訳と言えば、翻訳の神様(仏様?)とも言えるのが鳩摩羅什(くまらじゅう クマーラジーバ)でしょう。

鳩摩羅什は亀茲国の西域僧。後秦の時代に長安に来て約300巻の仏典を漢訳し、仏教普及に貢献した訳経僧である。最初の三蔵法師。のちに玄奘など、多くの三蔵法師が現れた。時にのちの玄奘と共に二大訳聖と言われる。(Wikipediaより)

日本仏教に大きな影響を与えた経の中に、釈迦最高峰の教えと言われる「法華経」がありますが、この経を誰人も真似出来ない最高レベルでサンスクリット語の経文に忠実に漢訳を行ったのが鳩摩羅什(と彼の弟子たちの翻訳者集団)だったのです。

願わくは、クマーラジーバの百万分の一でもいいから、
原作の意味を正確に伝えれる翻訳をしたいものです。

usagi_wave.jpg


今日もご訪問有難うございます
lobo.gif

 

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あしあと 24

コメント 7

こんちゃん

翻訳者のセンスというのでしょうか、腕の見せ所ですね。
かなり大変な作業ですが頑張ってください。
by こんちゃん (2017-05-16 07:57) 

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

アイアンマン・・・人気なんですね。
翻訳頑張って下さい。。
ポルトガル語は分かりませんが。(^_^;
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2017-05-16 21:29) 

kuwachan

有島武郎は読んだことはありませんが(^^ゞ日本文学史上では有名で
受験の時、作品は「或る女」とセットで覚えた記憶があります。
そんな最期だったとはもちろん知りませんでした。
by kuwachan (2017-05-16 23:55) 

トモミ

アイアンマン、アメコミヒーローだということ以外知りませんし知りたくもありません(笑)。もちろんウルトラマンなら結構な知識を有していますよ!有島ですか、これはまた渋い作品を…ただただ応援しか出来ませんが、頑張ってくださいませ!!
by トモミ (2017-05-17 10:11) 

SIBA-dog

有島武郎作品 昔一度読んだことありますが、途中で挫折して
本棚にしまったままです。日本語に翻訳するのは大変でしょうが
Lobyさんなら訳できますよ。応援しています。ウルトラマンは
いつの時代でもヒーローでした。アイアンマンも然りですね。(^^ゞ
by SIBA-dog (2017-05-17 16:17) 

すーさん

生まれ出ずる悩みのタイトルを見て、
有島武郎かな???と思って当たってたので
(元)文学青年はちょっと安心しました。
※ま、読んだことないだけどねぇ^^;←あほう。
いやぁ、この文体は翻訳するのが難しそうですねぇ。
Lobyさんが苦労された分、皆さんきっと喜びますね(o^^o)。
by すーさん (2017-05-17 19:43) 

Loby

>こんちゃんさん、宮沢賢治の作品に比べたら、
 文体などはもっと易しいと思います。
 脳がボケないようにせいぜい鍛えます^^;

>なんだかなぁ〜!! 横 濱男さん、アイアンマンは3部までありますけど、
 マーブルの人気作品の一つなんですよね。
 子どもには人気あるみたいです。

>kuwachanさん、そうですか。じゃあ、学生などはよく知っている
 作家なんですね。
 作家の生涯って、すべてがこんなではないでしょうけど、
 有名なだけにクローズアップされますね。
 ニュースにもなったことですし。

>トモミさんらしいですね。
 個人的には宮沢賢治の方が好きなんですけど、
 今までにすでに3作品を翻訳(監修・翻訳指導)しているので、
 今回は少し違った作家の作品を、と考えて選びました。
 
>SIBA-dogさん、そうですね。詩的な描写は少し難しいけど、
 文体そのものは比較的新しいので訳しやすいです。
 ウルトラマンは誰でも知っている宇宙のヒーローですよね♪

>すーさん、さすがですね。かなり文学作品を読まれたのですね。
 (あれ、有島武郎は読まれてない?^^;)
  ブラジルではまったく知られてない作家です。
  少しでも日本文学を知る助力になれば、
  と思っています。


  
by Loby (2017-05-17 23:05) 

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